基礎体力研究所

HOME > 基礎体力研究所

第62回談話会:2023年1月30日 16:30〜

「厚生大会からみた戦時下の厚生運動」
…都筑 真 先生(日本女子体育大学・准教授)

基礎体力研究所主催の第62回談話会が令和5年1月30日に行われました。
今回は、スポーツ史を専門とする都筑真先生(スポーツ科学科)に「厚生大会からみた戦時下の厚生運動」というテーマで話題提供をいただきました。当日は教職員、大学院生も含め約20名の参加がありました。
今回の談話会では、「厚生運動とは何か?」という問いかけから始まりました。1940年の東京オリンピックにあわせ第4回世界レクリエーション会議を日本で開催する準備を進めていく中で、「厚生」が「レクリエーション」に対する訳語として用いられたこと、日本厚生協会の設立、日本厚生協会の目的と事業内容、日本で行われてきた厚生運動のあゆみ、日本厚生大会と東亜厚生大会における演技プログラム(種目)の内容から、日本と満州における戦時下の厚生運動についての考察など、参加者の質問に答えながら丁寧に説明していただきました。
そして、これまで行われた日本厚生大会の演技プログラム(種目)については、第1回大会(東京市)では体操、行進、弓術、舞踊、野球、相撲など多様な種目が実施されていた。第2回大会(名古屋市)では集団体操の比重が高まってきた。第3回大会(大阪市)では「興亜」を冠した大会名と、日独伊三国同盟が締結された時代状況に沿い、日本と関係したアジアやヨーロッパから数多くの国と地域が参加する大会となるとともに、演技種目はほぼ集団体操と集団行進の構成に変容し、約4万人が動員されていたことなどについて、日本厚生協会の資料を交えながら説明されました。フロアからは「なぜ集団体操がそこまで拡大したのか」、「なぜ武道種目が体操として行われるようになったのか」、「当時の指導者や参加者の思想がどのように描かれていたのか」など、質問された先生方の専門とする分野の視点からさまざまな意見や質問が飛び交いました。そして、日本厚生大会が戦争の影響により実施できない間に満州にて開催された東亜厚生大会については、演技種目や参加人数など、日本と満州の厚生大会の類似点と相違点が示され、多人数で実施する集団的身体運動で演技種目が構成された点において両大会が酷似しており、日本の厚生運動の影響が見て取れると考察されました。
また、都筑先生からの問いかけもあり、その都度フロアから質問や意見に対応しながら話が進められ、活発な議論が行われました。話題提供をいただいた都筑先生、ならびに談話会にご参加くださいました皆様に心より感謝申し上げます。

対象者別メニュー
サイト内検索