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第65回談話会:2024年7月24日17:00~

「ヒトの体の特徴を “かたち” から捉える―相同モデルを用いて形態計測学の視点から“かたち”を捉える―」
…相馬 満利 先生(日本女子体育大学・講師)

第65回基礎体力研究所談話会が7月24日に開催されました。
今回の談話会では、スポーツ科学科の相馬満利先生にお話しいただきました。
相馬先生は、「3次元的人体形状相同モデルを用いた人体の“かたち”の定量化」について研究されており、今回は日本人一般成人男女や日本代表を含む男子運動選手、女子大学生の体幹部や全身の“かたち”の特徴などについてお話しいただきました。
従来の形態計測は、体の「長さ」「幅」「角度」などを測定し、体形を数値で評価する方法でしたが、これでは個々の体の微妙な違いを把握することが困難です。そこで、相馬先生は新たに「相同モデル」を導入され、体の3次元形状を統計的に処理することで、より詳細な体形の分析を実施されてきました。
一般成人男女を対象とした研究では、男性は肩幅が広く骨盤が狭い、いわゆる「いかり肩」の傾向があり、女性は逆に肩幅が狭く骨盤が広い「なで肩」や「くびれ」といった特徴がみられたことをご紹介いただきました。次に、男子体操選手を対象とした研究では、体操選手は、胸部と背中が発達しており、腹部が引き締まっている特徴があることや、競技種目ごとに体形の違いが見られ、例えばゆかや跳馬を得意とする選手は上胴が発達し、あん馬やつり輪を得意とする選手は胸部が発達していることが明らかになったとご紹介されました。また、男子競泳選手を対象とした研究では、競泳選手は、胸部と広背筋が発達し、肩幅が広いことが特徴であり、特にパフォーマンスが高い選手ほど、その傾向が顕著で、プル動作に重要な広背筋の発達がパフォーマンス向上に寄与していることが推察されるとお話しされました。最後に、女子大学生を対象とした研究では、痩身や肥満により体形が異なることが確認され、特に腕や腹部、臀部などの形状が顕著に変化することをご紹介いただきました。
参加者からは、本計測方法の具体的な測定方法や各実験での被験者の特徴の違い、また今後の展開や応用法について議論が交わされました。相同モデルを用いることは、これまで測定困難であった身体の微細な形状の把握を可能にし、スポーツ科学や健康分野加えて、ウェアやスポーツ用具の設計など幅広い分野への応用が期待されます。
相馬先生ならびに談話会にご参加くださいました皆様に心より感謝申し上げます。

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