基礎体力研究所

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第54回談話会:2017年1月18日 17:30〜

「バレーボールのコーチングにおけるデータの活用」
…古瀬 由佳 先生(日本女子体育大学・助教)

基礎体力研究所第54回談話会が1月18日に開催されました。今回お話ししてくださった古瀬由佳先生は、「スポーツ方法学」がご専門で、バレーボールの戦術について、ゲーム分析を用いて研究されています。昨今のパソコンやスマートフォンの普及によりスポーツの現場においても、データの活用が活発となり。バレーボールにおいてもゲーム中にデータ分析ソフトを用いて個々のプレーを即座にデータ化し、相手チームの戦術に対応することが可能となっています。談話会では、バレーボールのルール改正に伴うプレーの成功率の比較、日本バレーボール協会のJapan Volleyball Information System(JVIS)による評価の妥当性の検討や新たな評価基準の提案についての研究をご紹介していただきました。
まず初めに、試合の映像を用いることで、攻撃パターンのみならず、対戦相手の各個人におけるスパイクコースや、サーブコースを分析することができ、位置取りや成功・失敗を含めた得点経緯を把握することができるということをご紹介いただきました。さらに、分析データを用いることで、試合や対戦相手の情報が客観化され、選手やスタッフそれぞれが試合中に感じている主観的なイメージのズレを客観化された情報を用いてすり合わせることが出来るという利点があるということであった。また、選手へのフィードバックを行うことで、トレーニングにおいても個人・チームの抱える課題を共通化できるという点は、非常に興味深いものでありました。
バレーボールのルール改正の前後におけるレセプション(サーブレシーブ)成功率を比較した研究においては、新ルールの適用により、オーバーハンドレセプションが禁止されたため、ルール改正後のレセプション成功率は減少することが予想されたものの、男女共に高い成功率を収めていたとのことであった。また、日本バレーボール協会が採用しているサーブ効果率(JVIS:サーブ評価法)についての検証では、この評価法ではサーブミスの多いサーバーであっても高い評価が得られる可能性がありゲームの局面の実情に合致しないという問題点を有しているため、古瀬先生は「サーブでどれだけ得点が期待できるか(得点率)」を考慮し、独自に考案した評価法での分析をご紹介してくださいました。両評価法の比較からは、ゲームのシチュエーション(局面)に合わせた評価法の選択が必要になるとのことでした。
当日は、先生方、大学院生、学部生、合計15名の方々が、談話会にご参加くださりました。談話会終了後にも、個別に質問や議論が活発に行われ、盛会となりましたことを心より感謝いたします。

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