基礎体力研究所
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第51回談話会:2015年7月15日
「体育におけるダンス学習指導について考えること」
…宮本 乙女 先生(日本女子体育大学・教授)
基礎体力研究所第51回談話会が7月15日に開催されました。今回お話ししてくださった宮本先生は、「舞踊教育」がご専門でいらっしゃいます。本学に赴任する前まで中学校の保健体育科教諭として、長年にわたりダンス指導法の実践研究をされ、より良いダンス授業の研究開発を目的とした「全国ダンス・表現運動授業研究会」の代表もされています。学習指導要領においてダンスが必修となった今、ダンス経験やダンス履修の経験のない教員であっても、ダンス学習者に動きを考えさせる「問いかけ」を工夫することによって、学習者の動きが引き出され、ダンスの授業が充実する実践例を発達段階別にご紹介してくださいました。
幼児期から小学校低学年にかけては、例えば、「お鼻が長くて、体の大きな動物はなあに?」という、なぞなぞのような「問いかけ」を行い、幼児・児童が動作によってその「問いかけ」に答えるようなキャッチボール方式で授業を進行させる方法があります。中学生やより高い年代においては、その時限でのキーワードやキーとなる「動作」の提示をし、キーとなる動作から連想されるものを創作したり組み合わせて一連の動きを作らせることで、短い作品の創作へと導くことができます。
ダンスの単元では、アーティストの振り付けを完全にコピーしたり、教員が全ての振りや動作を動いて教示することを主たる目的としているわけではありません。他種目を専門とする教員であっても、「走る」、「止まる」などの日常動作や教員の専門とする種目を模した動作などを組み合わせて創作することも可能です。今回の宮本先生のお話は、教員がそれまでに蓄積された体育科教育のノウハウや知識技能をダンスに取り入れることで、ダンスが十分に指導可能な単元であることを示す内容でした。本学先生方、職員をはじめ、学部生、大学院生までご参加いただき、活発な質疑、意見交換を行い盛会のうちに終了しましたことを感謝いたします。