基礎体力研究所
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第49回談話会:2014年7月16日
「トレーニング現場とスポーツ科学的研究との架け橋を目指して」
…森山 進一郎
基礎体力研究所の第49回談話会が7月16日に行われました。
今回のゲストは、今年3月に体育学博士の学位取得を果たされた森山進一郎先生です。森山先生は水泳競技をご専門とされ本学の「スポーツ方法実習(水泳)」「スポーツプログラミング演習(アクアスポーツ)」などの授業を担当されています。また監督として水泳部の指導にもご尽力されており、今回の談話会では、「トレーニング現場とスポーツ科学的研究との架け橋を目指して」と題して、水泳部の指導現場でのお話や先生の学位取得に至る最新の研究についてお話をしていただきました。
先生のコーチ人生を変え、‘今の自分があるのはこのレースがあったから’という思い出のレース。第53回日本選手権水泳競技大会100mバタフライ、当時本学三年菊池選手は予選7位。決勝は8名中5名が日本代表という厳しい戦い。しかしながら、菊池選手はなんと2位。応援席からニチジョ生の歓声。思わず目が潤んでしまうようなレースでした。菊池選手は、大会を振り返り「後半辛くなったらとにかく(手を)前にかくことだけを考えて進め」という先生の言葉を胸に戦ったレースだったと話したそうです。このレース以後、先生が常に大切にしていることは、「菊池ゆめみ」選手のお名前から感じた「ゆめをみて語ろう。夢をかなえた自分を想像しよう。」という言葉だそうです。
その言葉を胸に、2009年から想像し続けた学位取得の夢を先生は見事に達成されました。大学院入試当初に掲げていた研究テーマを鹿屋体育大学大学院入学後、白紙に戻さなければいけない中、水泳における体感の安定化の重要性に気づき、より高い泳パフォーマンスを発揮するために体感の安定性が重要視されているがそこには科学的な根拠がないことに注目されました。そして「クロール泳における腹腔内圧とストローク指標の関係を明らかにすること」を研究テーマに先生の学位取得に向けた取り組みが開始されました。先生は、実験を開始した2009年の冬から、研究活動、学会活動、論文投稿などを通して「研究と現場をつなぐために必要な3か条」を「①既成概念や先入観にとらわれず、目の前で起きた現実や真実を受け止める ②勘と科学的知見に基づいた仮説のあるトレーニングを継続し、変化を見る ③不純な動機とプロ意識を持つ」とまとめてくださいました。
そして9年前に先生が基礎体談話会で発表をした際の最後のスライドの内容は、「関東学生選手権優勝!女子大日本1位!日本学生選手権優勝!女子大世界一!女子スポーツといえば、日本女子体育大学!が目標」というものでした。9年間で先生は、これらの目標をひとつひとつ確実に達成しており、今後も初心を忘れずゆめをみていく。とおっしゃられていました。
当日は様々な分野の先生方が参加して下さり、幅広く活発な議論が行われました。とても興味深いお話をして下さった森山先生ならびに、ご参加下さいました先生・職員・学生の皆様ありがとうございました。