基礎体力研究所

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第48回談話会:2014年1月15日

「脚伸展力を高めるための方法について」
…吉田 孝久

基礎体力研究所の第48回談話会が1月15日に行われました。 今回のゲストは、今年度本学に着任された吉田孝久先生です。吉田先生は走高跳びをご専門とする元陸上競技選手であり、31歳の引退まで約20年間競技をされていたそうです。現在は本学の「スポーツコーチング論」「体力トレーニング論」などの授業を担当され、陸上競技部の指導にもご尽力されています。今回の談話会では、「脚伸展力を高めるための方法について」お話をしていただきました。

陸上競技のトレーニングの現場では、脚伸展力を高めるトレーニングとして【スクワット運動】が広く採用されています。しかし、陸上競技における跳躍運動のほとんどが片脚による力発揮であるのに対し、このスクワット運動などのトレーニングは両脚で行われています。「片脚スクワットの方がトレーニングとして良いのではないか?」そんな練習中に感じた疑問を解消するために始めた研究をご紹介いただきました。両脚スクワットと片脚スクワットの最大筋力(片脚は左右の合計)の比較を行った結果、膝角度120度のとき、両脚スクワットの最大筋力は片脚スクワットの最大筋力より約27%も低く、顕著な差がみられました。その理由として、出力差がみられた膝角度120度での両脚スクワットでは、体幹部の支持機能によって出力が制限されてしまうため脚伸展力が出力に反映されないが、片脚スクワットでは体幹部の支持機能の範囲に収まることで脚伸展力が出力されるという出力機構の違いが考えられました。この研究から、両脚スクワットでは脚伸展力だけでなく、体幹部の支持機能を向上させることもトレーニングの目的とされ、片脚では脚伸展力の強化に主眼を置いたトレーニングのように使い分けが必要であることが示唆されました。また、座位で行われるレッグプレスは体幹部を排除した脚伸展力の運動であるため、腰部に対して不安がある時の脚伸展力維持・強化するトレーニングとして有効だそうです。先生は今後の研究の展望として、女性アスリートが瞬発的な力発揮ができるようになる方法を挙げておられました。また、この1年間本学学生を指導しながら得た‘女性アスリートの特徴’への気づきを生かし、今後は男性アスリートとは違った練習のアプローチを試しながら指導をおこなっていきたいそうです。

当日は様々な分野の先生方が参加して下さり、幅広く活発な議論が行われました。とても興味深いお話をして下さった吉田先生ならびに、ご参加下さいました先生・職員・学生の皆様ありがとうございました。

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