基礎体力研究所

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第47回談話会:2013年7月24日

「健康づくり事業化のためのパートナーシップ形成プロセス〜科学的根拠に基づいた健康づくりの知識を社会において共有するために必要な人と人との関係性〜」
…助友 裕子

基礎体力研究所の第47回談話会が7月24日に行われました。
今回は、「衛生学・公衆衛生学」がご専門の助友裕子先生に「健康づくり事業化のためのパートナーシップ形成プロセス」と題してとても興味深いお話しをして頂きました。助友先生は平成25年4月に本学に着任され、主に「健康情報普及のためのLearning Partner Modelの評価」や「児童・生徒を対象としたがん教育指導法の開発およびその評価」を研究テーマに挙げていらっしゃいます。

本日の談話会では、ヘルスプロモーションのためのパートナーシップ(Partnership for health promotion)として、公的機関や市民団体、民間企業などの間で次第に広がりつつある活動や成果を先生の研究報告とともにお話しして下さいました。

ヘルスプロモーションとは、世界保健機関が1986年オタワ憲章によって「人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善するようにするプロセスである」と定義しています。このプロセスを進めていくためには、「個人責任」と「環境整備」の2つの考え方が重要であり、健康成果の共有にむけていつくかの主体が自主的に合意し、共同して取り組むことがヘルスプロモーションのためのパートナーシップといえます。こういったパートナーシップこそが多機関の協働を形成し、ヘルスプロモーションにおける協働組織の基礎となります。パートナーシップは、例えば法律の制定や改正の実現といった明確な目標の達成に限られることもあれば、常に変化する広範囲の問題に当たり継続されていくこともあります。

それでは、「どのようなファシリティがあればまちは健康か?」という課題からパートナーシップの重要性について考えてみました。この課題について政府統計を利用して分析を行った結果、健康なまち指標のひとつである合計特殊出生率を高めるためには、ファシリティを利用する市民活動を活性させることがポイントであることが示されました。つまり、どんなに施設を建てたとしても、それを利用する市民や活動・行動者がいなければ健康なまちにはならないということです。

具体的に健康づくりのためにICウォーク事業を展開している埼玉県三郷市の例をあげ、「ICウォーク事業化のためのパートナーシップ形成プロセス」について検討してみました。これは、関係者へのインタビューや事業についての掲載記事から調査し、結果として新たな健康づくり事業の事業化には、健康部門以外の庁舎内連係が鍵であるということが明らかとなりました。

また、国立がんセンターでの研究をもとに、がん対策推進基本計画における新しい政策課題である「がんの教育・普及啓発」について荒川区や豊島区のがんに関する教育、さらに健康影響予測評価についての活動を紹介いただきました。

当日は様々な分野の先生方が参加して下さり、幅広く活発な議論が行われました。とても興味深いお話をして下さった助友先生ならびに、ご参加下さいました先生・職員・学生の皆様ありがとうございました。

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