基礎体力研究所
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2011年度第22回研究フォーラム
「スポーツを探究する人へ」
基礎体力研究所第22回公開研究フォーラムが平成23年11月26日に行われました。フォーラムのタイトルは、生涯、夢と希望をもって,『探究しつづけた人』であった加賀谷先生に相応しく、「スポーツを探究する人へ」とした未来志向の研究フォーラムでありました。内容は、加賀谷先生の研究活動の源流にあった「持久力の探究」,「若手研究者への期待」,そして「スポーツ関連領域の発展」にスポットを当てたものであり、加賀谷先生と基礎体を拠点として交流のあった先生方や若手研究者が講演を行いました。
セッション1では加賀谷先生のライフワークでもあった「運動の持続能を考える」をテーマに講演が行われました。愛知学院大学の齊藤満先生からは加賀谷先生との共同研究のお話や研究を進める原動力である「知るを楽しむ」ことについて、研究データを交えて講演して頂きました。荻田 太先生(鹿屋体育大学)の講演では、「最新の競泳に関わるトレーニング理論」が紹介され、当日集まった学生も大変感銘を受けたようです。さらに、宮地元彦先生(国立健康・栄養研究所)からは、疫学的な観点から「持久力と健康」についてお話して頂き、持久力の維持が、加齢低下を抑制し、生活習慣病の発症予防や健康寿命の延伸に重要であることを再認識しました。セッション2では、加賀谷先生や当研究所に所縁の深い若手研究者による、最新の研究成果発表が行われ、フロアーを含めて盛んな討論が行われました。ポスターセッションでの若手研究者の発表を含め、加賀谷先生が取り組んでこられた「若手研究者の育成が」実りある形になって現れた発表でした。
セッションⅢは福永哲生先生(鹿屋体育大学学長・第21期日本学術会議会員)から「体育・スポーツ関連領域の未来 –学術に何ができるのか-」と題した講演をして頂きました。日本における重要な社会問題として「子供の体力低下」があり、現在日本学術会議での、この問題の解決に具体的に取り組み始めたことや、この問題解決には、発育期におけるスポーツ科学領域の学術的発展が欠かせないことが、様々なデータを示しながら講演されました。また、お話の締めくくりには、「未発表データはエビデンスの蓄積には貢献しない。研究者はデータを論文にしてこそ、学術の発展に貢献できる」と締めくくられました。この分野に関わる研究者、指導者、学生にとっては改めて、体育・スポーツ科学の重要性と立ち位置を深く考えさせられた講演でした。