第23回ダンス学科卒業公演が開催されました
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1月17日(金)、ダンス学科の学生による卒業公演が、「J:COMホール八王子」で開催されました。卒業を間近に控えた4年生にとって、これが大学生活最後のステージ。4年間積み重ねてきた修練の成果をここに披露し、新たな門出を迎えまました。
4つの有志作品からスタート
第一部では、ダンス学科の学生たちによる有志作品を上演しました。研究室の垣根を越えた仲間でオーディションに挑み、今年は選考を通過した4作品が発表されました。
幕開けは『Fascinated by,』から。ジャジーな楽曲にのせたショーダンスで、軽快なステップにハットを巧みに使い、会場の空気を掴みました。スポットの扱いも考え抜かれ、スタイリッシュなラストに、大きな歓声が贈られました。
2作目は『SiO2(アメジスト)』。ヨハン・シュトラウス2世の喜歌劇『こうもり』序曲で踊るクラシックバレエ作品です。音に導かれ、ポワントで軽やかに舞う姿はまさに水晶のよう。基礎を丁寧に踏まえた正確なラインは美しく、優雅なステップで観客を魅了しました。
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有志1『Fascinated by,』
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有志2『SiO2(アメジスト)』
3作目はモダンダンス作品『above』。ピアノ曲にあわせ、流れるように連なり踊るダンサーたち。ソロにユニゾンと折り重なるように畳みかけ、全身で渇望を表現しました。一人ぽつりと佇む、哀愁の漂うラストも印象的でした。
有志作品ラストは『DON'T BLINK』。ダンサブルなストリート作品で、小気味良いステップとメリハリある動き、次第にテンポアップしていくスリリングな展開で観客の視線を奪いました。スポットに入れ替わり立ちあらわれる演出もセンスが光り、力強いパフォーマンスで最後まで駆け抜けていきました。
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有志3『above』
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有志4『DON'T BLINK』
各研究室がオリジナル作を発表
2部と3部では各研究室の学生たちによる創作作品が披露されました。今年は計6作品が上演されました。
まずは、高野研究室の『超 同調的平和主義』からスタート。舞台上に機械音が鳴り響き、生身のダンサーがそれにリンクしました。機会的な動きから、無音を境に舞台は景色を大きく変えていきました。サルバドール・ダリの名画『記憶の固執の崩壊』から得た着想をもとに生まれたこの実験的な作品では、独自の動きを探求し、不可思議な世界観を構築していきました。
続いて発表されたのは、渡辺研究室の『Amas Sigma Orions』。グスターヴ・ホルストの組曲『惑星』より第4曲木星を楽曲に用いたクラシックバレエの作品です。ポワントでのイタリアン・フェッテにグラン・ジャンプと次々と技を披露。群舞では徹底してラインを合わせ、日頃の鍛錬の成果を伝えました。壮大な楽曲にのせたダイナミックな作品で、輝く希望を描き出していきました。
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髙野研究室『超 同調的平和主義』
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渡辺研究室『Amas Sigma Orions』
岩淵研究室はコンテンポラリー作品『楽園』を上演しました。地にのたうつ肉体は原始を思わせ、この世の果ての風景を表現しているかのようでした。軽やかなピアノ曲から一転、耳障りな警告音が鳴り響き渡ると、動きはがらりと質を変えていきました。流されるように舞うダンサーたち。それは破滅への暗示か、観客へ深いメッセージを残しました。
中村研究室は『十(シン)』を発表しました。幕開け、舞台上からあらわれる人形のオブジェにまずは目が釘付けになりました。民族音楽が流れるなか、人形と共にデュオを踊るダンサーたち。生身の肉体の躍動とオブジェの関係は謎めき、各々異なる衣裳に身を包んだダンサーが個の在り方をあらためて際立たせていきました。最後に一体残される人形と、全力で走り抜けるラストの対比で、深い味わいをもたらしました。
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岩淵研究室『楽園』
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中村研究室『十(シン)』
石川研究室の『Hear me Roar』は幕開けから大胆に色香を振りまき、畳みかけるように観客を一気に舞台へ引き込んでいきました。練り上げられたフォーメーションと、世界観に忠実な衣裳と楽曲。ソロから大群舞まで息もつかせぬ展開でダンサブルに踊り、観客の心を大いに捉えました。
ラストは坂本研究室のモダンダンス作品『黎明の灯』。冒頭、舞台上にはぽつりと灯りが点り、ひとりふたりとはらはらと舞うダンサーたち。風の音が冷たく響き渡ると、景色はしんと闇を深めていきました。灯りは天空へ浮かび上がり、その下で踊るダンサーの姿はシルエットに。やがて鐘の音が響き渡ると、人々は力を得て、何かの始まりを示唆するかのように灯りが再び点る。美しくも情感溢れる作品で、物語を豊かに語り上げました。
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石川研究室『Hear me Roar』
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坂本研究室『黎明の灯』
4年生全員が一体となったエンディング
エンディング作品は『On my own way』。ダンス学科4年生全員が舞台に登場し、支えてくれた全ての人へ感謝の気持ちを伝えました。共に力を合わせ、前を向き、一歩一歩苦難を乗り越えてきた4年生。この先に続く道へと踏み出してゆく、希望に満ちた笑顔が溢れていました。第23回卒業公演は無事に幕を閉じました。
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