第21回舞踊学専攻卒業公演が開催されました
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2年ぶりとなる有観客での開催
1月26日(木)、舞踊学専攻の学生たちによる卒業公演が、府中の森芸術劇場「どりーむホール」で開催されました。4年生にとって卒業公演は大学生活最後のステージ。そして本学にとっても本公演は「日本女子体育大学舞踊学専攻」として発信する最後のステージです。その記念すべき公演を見守るべく、会場には多くの方がご来場くださいました。学生たちは4年間積み重ねてきた修練の成果を多くの方々に披露し、春からの新たな門出を迎えます。
有志の学生メンバーによる2作品
第一部では、舞踊学専攻の学生たちによる有志作品を上演。研究室の垣根を越えて集まったメンバーがオーディションに挑み、今年は2作品が審査を通過しています。
幕開けは『喪儚怪墟』からスタート。闇に包まれたステージに、黒のチュールをまとったダンサーたちが登場。表情もなく踊るその姿はどこまでもシュールで、背後に微かに流れる子供の歌声が怪しげな気配をより一層高めていきます。中盤からは一転、ヒップホップでダンサブルな雰囲気に。緩急ある構成で、最後まで観客の目を惹きつけました。
prebilityによる『喪儚怪墟』
2作目はモダンダンス作品『knell - 終わりを告げる鐘 -」』を上演。風の音にあらがうように踊り、切望と焦燥、そして喪失の想いを全身で表現。どこからか鐘の音が鳴り響き、光に向かって届かず終わる、刹那的なラストで美しく締めくくりました。
#0124による『knell - 終わりを告げる鐘 -』
6つの研究室が作品を発表
第二部・第三部では、6つの研究室がそれぞれの研究成果を凝縮したオリジナル作を披露しました。
第二部の冒頭を飾ったのは、松山研究室の作品『飽ショク人(ホウショクジン)』。髪を振り乱し、突き動かされるかのように踊るダンサーたち。いらだち、もっともっとと手を伸ばし、それでも満たされることなく踊り続ける。ドビュッシー『月の光』が優雅に流れるなか、人々は荷物をいっぱいに抱え、手放し、銃に倒れる。衣裳と小物使いも巧みに、物と欲に囚われ、満たされることない現代人に対する風刺を鮮やかに描き出していきました。
松山研究室『飽ショク人』
続いて発表されたのは、渡辺研究室の作品『Un ange de neige』。チャイコフスキーやベートーヴェンを楽曲に用い、ポワントとチュチュで魅せる優雅なクラシック作品です。パ・ド・ブレを駆使した繊細なポワントワークと、クラシックバレエの様式美で幻想的な白銀の世界を描写。ラストは21名の息の合った見事な群舞をみせ、会場の大きなため息を誘いました。
渡辺研究室『Un ange de neige』
岩淵研究室の作品『ぽろん』は、プロパガンダとその中で生きる人間たちをテーマに扱った挑戦作。ステージに降り注ぐ無数の球体と、それを蹴散らし、踊るダンサーたち。警告にも似た機械音を背景に、ざわざわとした心の叫びを伝えました。
岩淵研究室『ぽろん』
続いて、石川研究室が「TRICK」を披露。紫の個性豊かな衣裳で、ジャズダンスとストリートダンスを融合させ、スピード感ある作品で観客を魅了。群舞の醍醐味をふんだんに盛り込み、一つのショウを見事に完成させました。
石川研究室『TRICK』
髙野研究室の作品『One Fatal Thing』は、現代を代表するコンテンポラリー・ダンスの振付家ウィリアム・フォーサイスの『One Flat Thing』から 着想を得たという意欲作。本作は机をモチーフにダンサーたちが踊り、 冒頭、4台の机の上で何かを訴えかけるダンサーたち。やがて舞台のホリゾント幕が上がり、がらんとした舞台へと一転。無機質なコンクリート空間を背景に身体性を浮き彫りにし、個々の存在と関係性を色濃く描写していきました。
髙野研究室『One Fatal Thing』
坂本研究室の『斜陽の樹』は、壮大なモダンダンスの群舞作。風に吹かれ、傾き、季節は巡り、それでもそこにあり続ける。重なりあう腕の動き、揺らめき天に向かう身体をもって、ゆるぎない大樹の生命力をたおやかかつ力強くあらわしていきました。
坂本研究室『斜陽の樹』
4年生の想いを重ねたエンディング
エンディング作品は『RE-PETAL』。そこに込めたのは、一人一人の思いを重ねた一輪の花、歩んだ道の先で再び花を咲かせられるようにとの願いでした。ステージに出演者全員が登場し、4年間支えてくれた全ての人へ感謝の気持ちを伝えます。共に力を合わせ、手を取り合い、コロナ禍の学生生活の苦難を乗り越えてきた学生たち。全力で踊りきったすがすがしい笑顔をあとに残し、第21回卒業公演は無事幕を閉じました。