2021年6月12日(土)~13日(日)に東京のグランドプリンスホテル新高輪「飛天」にて、「第42回/2021年日本インターナショナルダンス選手権大会」が開催されました。
この大会に本学卒業生の恩田恵子さんが出場し、優勝しました。
恩田さんは大学院を修了後、大阪に拠点を移し、社交ダンス・競技ダンスの講師をする傍ら、大会で輝かしい成績を残し続けています。
ご出身は長野県ですよね。どうして東京に来たのですか?
3歳のころから地元でクラシックバレエを習っていました。すでに習っていた姉の影響です。ずっとバレエを続けていたので、姉の高校の担任の先生に東京にある大学に舞踊学専攻というダンスを学べる大学があるよと教えてもらったのがきっかけです。田舎のバレエ教室でしたので、週に1回しかレッスンが無かったのであまり自信はなかったのですが、一般入試で受験することを決めました。
舞踊学専攻(現ダンス学科)の1期生ですが、大学に入学していかがでしたか?
寮生活をしている中で、寮生に競技ダンス部があることを教えてもらい、一から新しいダンスを始めてみるのも楽しそうだと思って、競技ダンス部に入ってみたのがその後の人生において大きな影響がありました。教職課程も履修していたので、とにかく授業が忙しかったです。踊ってばかりいましたが、スポーツも好きなので、授業でダンス以外のことが学べることもすごく楽しかった思い出があります。新体操の授業なども印象に残っています。その時の恩師の石﨑先生の同級生の方が大阪にいらして、当教室で受講してくれているので、所縁を感じています。
大学院に進学した理由は何ですか。
大学時代は踊ってばかりいたので、論文を書いてみたいと思ったのがきっかけです。その時仲の良かった同級生が院に進学すると知って、私ももう少し勉強したいと思ったのが決め手となりました。
大学院を修了した後の話を聞かせてください。
大学院ではダンスをやる時間が全くとれなかったので一度ダンスをやめました。でも修了が決まって、もう一回踊りたいと思いました。バレエでも良かったのですが、もう一回競技ダンスをやろうと思った時、大学の友達の後輩が大阪で競技ダンスをやっていて、身長が高くてパートナーを探している人がいるよと教えてくれたのです。それが今の夫であり、ダンスのパートナーです。ちょうどお互いに相手を探しているタイミングがぴったり合ったのです。
大阪に拠点を移すことに抵抗はありませんでしたか?
大学院の時にフランスの宮廷舞踊の研究をやっていたので、松澤先生にフランス・ドイツに連れて行っていただきました。その時初めてユースホステルというもの知り、バックパッカーのように各地を廻り、資料収集したことがすごく思い出に残っています。言葉も全く分からない中であちこち行きましたが、世界を知ったその経験からどこでも生きていけることを肌で感じました。とくに日本国内では言葉が通じるので、どこで生活しても大丈夫だとあの経験から自信がつき、全く抵抗はありませんでした。
第42回日本インターナショナルダンス選手権大会で久しぶりに日本人が優勝しましたよね?
今年は優勝する気で臨みました。国際大会なので、もともと海外のトップ1位から6位までの選手が参加するので、コロナの影響で来日することができないこともあり、今年はチャンスがあると思っていました。
順風満帆なダンス歴だと思いますが、苦労した経験などはおありですか?
私自身は世界にでると現在24位以内の実力ですが、日本の中ではトップになって長くなってきました。ただ、日本でトップになってから、もっと強くなりたいと思って全く休まず練習をして、無理をしすぎてケガをしました。少し良くなったらまた練習をして...の繰り返しで結局痛みに耐えることに対して心の底から嫌になってしまい、大会で途中棄権をしたことがあります。それが一番辛かったですね。2011年にトップになってその後ケガをしてからなかなか返り咲くことが出来ずにいましたが、また2015年からトップになることができました。
今はどういう感じでお仕事をされていますか?また今後どうしていきたいですか?
マンツーマンのプライベートで教えたり、グループのレッスンをしたりしながら、自分のダンスを磨いています。世界の三大大会や世界各国で開催される世界選手権には毎年参加しています。日本はこれまで強かったのですが、ここ最近は世界のレベルがどんどんあがってきているので、負けないように頑張りたいと思っています。
最後に、ニチジョの後輩へのメッセージをお願いします。
ニチジョの学生の動画をYouTubeで観たのですが、みんなキラキラしているなと思いました。私はもともとバレエが専門でしたが、学生時代いろいろなジャンルのダンスをやる人たちに囲まれてすごく良い刺激を受けました。ダンスが好きな気持ちがみんな強いので、今の踊ることが好き、ダンスが好きという気持ちを忘れないでいると、その後の人生がずっとキラキラしていられると思います。今後一度離れたりする時に、きっとその気持ちがハッキリと分かると思います。
私の同級生たちは大学で教えていたり、お母さんになったり、お寺に嫁いだり、家業を継いだり、みんなそれぞれの人生を歩んでいますが、そんな中でまたダンスを始めたり、教えたりして、ダンスにいろいろな形で関わっています。好きなことを続けていると、それが仕事に良い意味で影響をしたり、刺激になったりすると思います。だからダンスが好きという気持ちを持ち続けることで人生に彩を与えるのではないか、それがキラキラし続けられる秘訣だと思います。学生は今すごく輝いているので、「ダンスが好き」という、その気持ちを持ち続けてほしいですね。