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音楽への視線、舞踊への視線

森 立子(舞踊音楽)

2013年4月より本学に着任いたしました森立子です。私は、大学の学部から大学院博士後期課程まで、楽理科(大学院では音楽研究科)という場で学んでまいりました。楽理科とはどのような学科なのですか、と聞かれることがあるのですが、一言で言えば「音楽、および音楽をとりまく諸々の事象について学問的に研究する学科」ということになるでしょうか。そしてその中で、私自身はこれまで、17世紀から18世紀にかけてのフランスの舞台芸術に関する歴史的研究を行ってきました。

今でこそ状況は様変わりしていますが、私が大学に入学した頃は、西洋音楽史研究の主流は何といってもドイツ音楽研究でした。そういったこともあり、私も最初は第二外国語としてドイツ語を選択し、それと並行する形でフランス語も選択して勉強していました。ただ、私自身は当初から、音楽だけでなく舞踊にも興味を持っており、いわゆる「ドイツ音楽の作曲家作品研究」とは違った研究、音楽と舞踊の両方を視野に入れた研究はできないだろうかと考えておりました。こうして行き着いたのが、17世紀から18世紀にかけてのフランスの舞台芸術というテーマでした。

この時代のフランスには、さまざまなジャンルの「舞台芸術」が存在していましたが、私が最初に研究対象として選択したのは、「コメディ=バレエ」というジャンルでした。まずはその資料状況の調査を行い、その上で、作品の構成法やその後に成立するフランス・オペラとの関連について論じていきました。「コメディ(喜劇)」と「バレエ」という二つの要素を含み、そこにさらに音楽が重要な要素としてからんでくる―このような複合的なジャンルを扱い、分析することの難しさと面白味とを実感した数年間でした。

その後、もう少し「舞踊」に真正面から向き合って、これに特化した研究を行ってみたいという気持ちを強く持つようになり、18世紀以降のフランス語圏の舞踊理論を同時代の文脈に照らしつつ読み込んでいく、という作業を現在に至るまで続けています。「芸術としての舞踊」とは何か、またそれについて論じるとはどういうことなのか、数百年前の言説を手がかりにしながら思考する日々を過ごしています。

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