学部・大学院
ながされるままに、井戸端から考える
小堀 哲郎(教育社会学)
私の現在の専門は教育社会学ですが、学部のころ哲学科にいた私は、ドイツの近世思想に関する卒業論文を書き、その後大学院で社会学の研究室に入りました。とはいえ、もっぱら文化人類学や民俗学、考古学の研究室に入りびたり、祭りのフィールドワークや村落調査、遺跡の発掘などもかじりました。
そして、現在の研究テーマは大まかに言って次の3つです。まず、学部生時代から一貫して興味をもっている「社会意識論」的な研究です。ある事柄がなぜ多くの人々の意識に上り、流行現象となるのか、といったことを考えます。これまでにたとえば、戦前の日本で流行した健康法などを題材に考えたことがあります。
次に、「子どもの教育福祉論」的研究です。教育福祉論というのは、教育と福祉が重なりあうところに問題を設定して考えていきます。たとえば、学童保育とか子ども会といったテーマがわかりやすいかと思います。
3つめは、「大学における授業の研究」です。いまだにあまりうまくはなりませんが、どうすれば上手に講義ができるかについて、いつも頭を悩ませています。
こんな風に書くと、いかにも大層な感じがしますが、実のところは、いつもその時々の興味関心や人とのつながりでながされるままにやってきたという感じです。そして、井戸端で口の端に上るような話題を、いわば雑談から考えていく、というようなことをいつも意識しています。
明治末から昭和戦前期ごろに出版された「健康法」に関する書物