学部・大学院
舞踊創作の極意
坂本 秀子(モダンダンス)
私は本学の舞踊教育の根幹を担った舞踊家、江口隆哉の研究を行っています。江口は舞踊創作に対しての理念、理論を確立し優秀な舞踊家を育成、現代舞踊協会の会長をも歴任して舞踊界の発展に大きく貢献したことで知られています。江口が最も大切にした創作の心得を紹介します。
- 1.動きの型の排除
どの作品にも同じ動きの型が出てきて類型的になってはならない。作品ごとに新しい動きを生み出すことが大切である。 - 2.動きの独自性
作品の主題の捉え方から、創作する人の独自性を尊重する。 - 3.貫通表現の重要性
動きは作品の主題を表現するためにのみ存在するのであり、作品の芯から一本の糸でつながれていなくてはならない。 - 4.新しい芸術観に立つこと
人の気づかない見方、感じ方または隠れた美を発見することが芸術としての生命なのだ、という新しい芸術観に立つことが必須である。 - 5.空間構成を大事にする
舞踊は空間的に、在るものを創り出すものだという考え方に徹すること。
私自身も江口の孫弟子にあたり、恩師で本学名誉教授の金井芙三枝先生の舞踊団で長い間稽古に励みました。江口が実践と理論の両立を成し遂げたように、私も両輪を爽やかにまわしていきたいと思います。
江口の代表作:「日本の太鼓」
1951年に芸術選奨受賞、翌年には芸術祭文部大臣賞受賞。今回、アーカイブ公演で女鹿(赤)を踊る幸運に恵まれ、NHKでも放映されました。