資格・就職
- 教員系
- 幼稚園教諭
小川 明華(2015年 幼児発達学専攻[現子ども運動学科]卒)
■二階堂幼稚園
「先生大好き!」その言葉を励みに
子どもの心の声に耳を傾ける
<2022.02収録>
思いもよらない反応をするのが子どもらしさ
千葉県我孫子市にある二階堂幼稚園に勤務しています。指導で大切にしているのは、「運動」「学習」「道徳」の相乗効果を生み出すことです。運動は子どもの競争心を刺激し、"できる喜び"につながっていきます。運動で得る達成感は 学習へのモチベーションにもなり、仲間と協力することで道徳心も育まれます。速く走ったり上手に踊ったりするため に周りを見て学ぶ意識も芽生えるので、私が上手に背中を押すことで、子どもたちは自分で考える力が高まるのです。 とはいえ、相手は子ども。思いもよらない反応もあり、丁寧にわかりやすく伝えたつもりでも、理解してもらえないときがあります。同じ伝え方でも、すぐに理解できる子もいれば、もっとかみ砕かないと伝わらない子もいます。子どもの反応は十人十色だからこそ、接し方も一人ひとりに合わせる必要があります。
その点、ニチジョでは幼稚園や保育園での実習以外でも園児と直接触れ合う授業が多く、子どもとのコミュニケーションの取り方が鍛えられました。学生が先生役と園児役に分かれて対応力を養う授業もありましたが、ロールプレイでは限界があるのも確かです。子どもたちの多種多様な反応に触れる機会が多かったことで、現場で求められる実践力が培われました。
子どもたちの見えない感情にも寄り添いたい
在学中の思い出は、コーラス部に所属して健美祭などのステージに立ったことです。ほかにも「児童文化演習」の授業では、学生が協力して子でも向けの劇を企画し、授業最終日にお客さんを招いて上演しました。幼稚園教諭は、園児から保護者まで人前に立つ仕事のため、在学中の経験が大いに生かされています。
研究室では、スポーツクラブに所属している小学生とその保護者を対象とした意識調査を行いました。「運動を好きになってほしい」「体力をつけてほしい」といった親の願望に対して、実際のところ子どもはどう感じているのか。両者の意識にどのような違いや一致が見られるのかを分析しました。すると、子どもが苦手意識を抱き、必ずしも前向きではないケースもありました。こうした子どもの素直な感情が私の実体験と重なったことで、幼稚園教諭としての明確な目標設定につながりました。
私は幼少期からピアノ教室やスイミングクラブなどに通いましたが、当時は水泳が苦手でした。だからこそ、同じように水泳が苦手な子どもや、鉄棒が苦手な子どもなどにも共感できますし、同じ目線になって寄り添っていきたいと考えました。外からは見えない子どもたちの感情や本音を知る努力を怠らず、心の声に寄り添った対応力を身につけたいと思ったのです。
ニチジョの後輩と、子どもの成長を喜び合いたい
幼稚園教諭となり、子どもから「先生大好き!」と言われたり、保護者から感謝の言葉をいただくと純粋にうれしいものです。ただ、現在でも難しいと感じることはありますし、失敗もします。それでも、失敗から多くのことを学んで成長することができました。在学中は「できなかったらどうしよう」と不安になり、失敗を怖がって萎縮することもありましたが、最初から何でも上手にできる人はいませんし、学生時代はなおのこと失敗していいと思います。 保育者を目指すニチジョ生にもうひとつアドバイスをするなら、時間があるときに「ペープサート」や「エプロンシアター」「パネルシアター」などを作っておくことです。少しずつでもストックしておくと、将来に向けたモチベーションになりますし、もちろん就職後にも役立つのでおすすめです。そうやって皆さんがニチジョで4年間を過ごした後、たとえ勤務先は違っても、同じ保育の世界で子どもたちの成長を一緒に喜び合えることを心から願っています。