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水村 里奈(2017年 舞踊学専攻[現ダンス学科]卒)
■コンテンポラリーダンサー、振付家
異業種とのコラボを軸に
ダンス業界の可能性を広げたい
<2021.12収録>
舞台だけではない選択肢を知り、人生の転機に
私はフリーのコンテンポラリーダンサー・振付家として活動しています。大学3年のときには、コンテンポラリーダンスを学ぶためにベルギーへの留学をめざし、現地での最終オーディションまで進んだものの、結果は不合格。そんな矢先、ミュージックビデオのオーディションに挑戦し、出演が決まりました。これが私にとって初めての映像作品であり、ダンサーとしてのターニングポイント。舞台で踊るダンサーしか将来の選択肢として考えられていなかった私にとって、衣装やヘアメイク、照明など、異業種のスタッフが協力する撮影現場は驚きの連続でした。新しい世界を知って衝撃を受け、卒業後の目標が明確になりました。 とはいえ、卒業後もフリーでダンスの仕事をしていくためには、自分がダンサーであることを証明し続けていく必要があります。そこでフル活用しているのが、インスタグラムなどのSNS。実際、SNSを見て私を知ってくれた方か ら仕事の打診をいただくケースも多く、東京2020オリンピック・パラリンピックの海外向けPRムービーや開会式で踊ることにつながったきっかけもSNSを通じたものでした。
ダンサーが知っておくべき実用的な情報を発信中
現在は、さまざまなミュージックビデオでの出演や振付、モデル業のほか、YouTubeではコンテンポラリーダンスのテクニックを発信。さらに、「コンテクラブ」というインスタグラムのアカウントでは、ダンサーが実践すべき栄養管理や、ダンスの歴史なども紹介しています。これらの内容は、もとはといえばニチジョで身につけた知識。 ニチジョの後輩もフォローしてくれており、ぜひ実践してほしいと考えています。私自身、在学中に実用性の高い知識や視点を身につけたことで、現在の食生活や身体づくりなどに生かされているからです。
また、ニチジョでの4年間は、数々のチャンスを生かしながら、能動的に作品をつくった4年間でした。高校までは与えられた課題の中で技術を高め、"模範解答"に近づけていったのに対し、ニチジョでは学んだ要素を主体的にチョイスして、自分が思い描く世界観を作り上げていきました。その実践の場として、ダンス・プロデュース研究部や研究室で経験値を高め、学外のコンテストにも挑戦。4年間で作品づくりのためのさまざまな手法が身につき、ダンサーとしての幅が広がった感覚があります。
後輩のためにも、ダンサーを取り巻く環境を改善したい
私が日々大切にしているのは、時代のトレンドに合わせてアクションを起こすことです。トレンドをキャッチするためには多方面にアンテナを向け、異業種とのつながりも大切にしています。 今後、ダンサーや振付師として活動する一方で、挑戦したいことはたくさんあります。その一つが、オリジナルのダンスウェアづくり。機能性とデザイン性を兼ね備え、日常生活でのふとした仕草もかわいく見えるようなブランドを立ち上げる計画を進めています。日本発信の「ダンス×ファッション」のムーブメントを世界中に広め、ファッションショーの演出などにも挑戦したいと思っています。 また、ダンスをテーマにしたワークショップを開催するたびに感じるのは、ダンサーとしての働き方に悩む人の多さです。実際に、ダンサーを取り巻く環境は、まだまだ改善の余地があります。そこでカギになるのも、ファッション業界をはじめとする異業種とのコラボレーションです。例えばファッションイベントなどでダンサーを目にする人を増やし、ダンスの認知度を高めることで、ダンス業界の可能性を広げることにつながると思うのです。 これから社会で出ていく後輩たちがダンサーとしての可能性を広げていくことが、私の役割と考えています。 2022年4月現在、ダンスウェアブランドを正式に立ち上げ、クラウドファンディングを通じて多くの方に賛同をいただき、服の販売を実現することができました。これからも暮らしに溶け込むダンスウェアアイテム制作を充実させていきたいと思っています。