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中野 美里(2007年度・健康スポーツ学専攻卒)
■オフィス機器販売会社
3人暮らしで、私のポジションはお父さん。
中野さんは、オフィス向けのコピー機やプリンターの販売の営業をしています。ニチジョ時代の友達と3人暮らしをしながら、営業の第一線で頑張っています。ここ最近の厳しい経済状況を肌で感じる毎日のようです。
<2009.10収録>
働きだして1年半。どうですか?
お客様がつぶれちゃうんですよ。私の担当しているお客様に限った話ではなくて、事業所全体でそうなっています。今はちょっと落ち着いていますけど、今年の3月、4月あたりはけっこう多かったですね。
どんな仕事をしているの?
オフィス向けのコピー機やプリンターの営業をしています。本社は東京にあり、私が働いている事業所は、埼玉県にあります。お客様は、業種は問わないですが基本的にコピー機やプリンターを使うところです。建築会社とか、不動産会社、あとは病院や介護系の施設に行ったりもします。
つぶれちゃうというのは?
私の営業先には中小企業のお客様が多くて、やっていても利益が出ないからとか、跡継ぎがいないとかで、会社をたたまれたりして...。
会社はなくならないまでも、コピー機やプリンターを使わなくなったり。たとえば個人で設計やデザインなどをやっている方は、経費がもったいないので家庭用のプリンターやファックスにするとか、コピーはコンビニに行くとか...。あと、本社に統合されるので1台なくなりますとか、そういう話もあります。
どの業界も厳しそうですね。
不況というか、お客様の事情なのでしょうがないというか...。人は簡単には首は切れないけれど、機械はやめちゃえば経費がかからないから。この状況はいつまで続くのかわからないし、期限が決まっているものじゃないから、その中でやれることをやるしかありません。
何も言わずに、いなくなっちゃうお客さんもいると聞く中で、お客様からご連絡をいただけたということは、うちとの関係もそんなに悪くなかったのかなと思うことにしています。でもやっぱりさみしい感じはしちゃいますね。「どうして?」って思います。
そういう中での営業は大変ですね。
経費がかかって困るというお客様には、削減提案をしています。たくさん使ってもらったほうが会社は利益になるのですが、そもそも使ってもらえないと始まらないですから。
たとえばコピー機とプリンターを合体させたら、分割で使用するよりも経費がぐっと押さえられるとか、ファックスもパソコン上で見るペーパーレスのものにするとか、そういったご提案をして機械の入れ替えや再構築をやっていきます。
利益は少なくても将来につなげるという意味もありますし、機械なので壊れることもあるので、そういう時にも会社として対応できるようにしておきたいんですよ。
なんか、プロになっていますね(笑)。
1年間で、けっこう詳しくなっちゃうんです。メールができなくて困っている友達とかがいると、「それはね...。」ってちょっと出ばっちゃったり。「あれはやった?これはやった?」って言っていると、会社で「これはやっていただけましたか?」って電話している自分とかぶってきて、「あー、これ会社と変わんないな。」って。素の自分をどこかにやっているような気がして、そういう自分がちょっと嫌なんですけど(笑)。
仕事を始めた時はどうでした?
最初にまず3カ月の研修をしました。製品の勉強をして、それから班ごとに分かれてフィールドに出て先輩社員の人と一緒に実際に営業にまわったり、エリアを区切って自分たちだけで営業活動をやってみました。研修が終わって、各々の配属場所にまわされました。
配属されてからいちばん困ったのは、実際にご注文いただけた時、発注の仕方がぜんぜんわからなかったことです。機械はリース契約が多いので、この商品を売るにはこの申請書が必要で印鑑はここに3カ所なきゃだめみたいな、そういうことを覚えるのがいちばん大変でした。社内のシステムも時々変わるので、今でも知らないことがいっぱいあります。
コピー機やプリンタ以外は何を扱っているの?
オフィス関係のものだったら、ほとんどのものは取り扱います。パソコンや机も売っているし、ネットワークシステムやセキュリティーシステムの構築などもやっています。あと、内装や電気工事なども提携企業があるので請負っています。
給料は、業績によって変わりますか?
保険の営業ほどではありませんが、販売成績が評価給として基本給に上乗せされたり、ボーナスの額に反映されたりします。ただ入社2年目くらいだとそんなに差は出ません。
先期までは、別枠で給料に上乗せするインセンティブもありました。販売台数で順位付けをして、トップは何万円っていうかたちでもらえました。今期はなくなっちゃいましたが...。今はどちらかと言えばチーム戦というか、事業所単位で業績が評価されています。
事業所は何人くらいいるの?
私のいる事業所は、だいたい30人弱くらいです。営業は私を含めて8人。あと、ネットワークの構築を考えたりするサポートの人や、器械のメンテナンスや修理をする人、業務の人などがいます。
住んでいるところは?
会社へはドアツードアで40分くらいのところに住んでいます。ニチジョ時代の友達3人と、ファミリータイプのマンションでルームシェアをしています。
研修期間は、会社の寮のマンションにいたのですが、配属が決まった時に荷物をいったん実家にひきあげて、配属先の近辺で住むところを探していました。会社の家賃補助があるのですが、額が決まっているので厳しいなって思っているところに、ニチジョ時代の友達もたまたま探しているということで、じゃあ一緒に住もうということになりました。
その子と私はニチジョの基礎スキー同好会の仲間だったのですが、その子はまだスキーをやりたいということで、夏のあいだアルバイトをして冬はスキー場に籠って夢を追いかけています。最初は深夜のアルバイトをやっていたのですれ違いの生活だったのですが、夜働くのはやっぱりつらいらしくて今は昼の仕事に変わりました。
その子の夢はプロスキーヤーですか?
オリンピック競技とかではないので、プロと言っても指導員のほうです。スキー技術選というのがあるんですけど、それに出るのが当面の目標です。
私の仕事の話でこんな話もなんですけど、スポーツやダンスをやっていたりする子は、やっぱり夢を追い続けたいっていうのがあるじゃないですか。就職しちゃうとどうしてもできなくなっちゃうし、そういう友達と一緒に暮らしていると、まあリアルなお話、そういう道もあるんだなって思います。
もう1人の同居人は?
もう1人はちょっとイレギュラーだったんですけど、今年の4月から一緒に住み始めました。
その子は、地元で就職してプールのインストラクターをやっていたんですが、人間関係がうまくいかなくなっちゃって、それでちょっと鬱っぽくなっちゃったんです。前から職場で理不尽な指導をされたり、上司の仕事のつけを負わされるとかで、色々あって悩んでいました。その上に体力勝負の仕事なので、体を壊してしまって...。
私は心配で時々電話をしていて、ある時冗談で「会社やめて、気晴らしに2カ月くらいうちに住んでみれば?」って言ってみたら、ほんとにそうなりました。今は彼女も大丈夫になって、就職活動しながらコンビニでアルバイトをしています。
そんな感じで、この1年はけっこう波瀾万丈でした。
中野さんは一家の大黒柱のような存在ですね。
そう、私のポジションはお父さんなんです(笑)。ちゃんと働いているのは私だけだから仕事をやめられません。でも2人ともしっかり収入を確保するような働き方をしているので、家賃や光熱費も全部折半でやっています。だからルームシェアをして不都合なことは全くなく、むしろ私にとってはいいことの方が多いかな。
どんなところがいい?
3人で暮らすようになってから、まずご飯をちゃんと食べるようになりました。ご飯は、先に帰ってきた人が作ることにしています。もちろん私も先に帰ったら作りますけど、だいたい最後なので帰ったらご飯ができていて、うちにご飯があると飲んで帰らなくなりました。
新婚家庭みたい(笑)。
それまでは、ちゃんとご飯を食べないでファストフードでごまかしちゃったり、夏は何にも食べなかったりしていたので、体重がすごい増減して不健康な感じに痩せたり太ったりしていました。ちゃんとご飯を食べるようになったら、不思議なんですけど痩せてきました。
そのまま一生暮らせそうですね。
そう、あぶないんですけど今の状況はちょっと悪くない(笑)。考えてみれば、兄弟が多かったので小さい頃から必ず誰かが家にいました。大学時代も寮に住んでいてまわりにはいつも友達がいました。だから、今の環境は私にとっては暮らしやすいのかな。
一緒に住んでいて困る事と言えば、しょっちゅう鍵を忘れて外出してしまうことです。私は朝いちばん最初に部屋を出て夜帰ると必ず誰かいるので、安心しきって鍵を持って出ないんですよ。昨日も鍵がなくて大さわぎでした。「私ここ1週間、鍵見てないんだけど誰か知ってる?」って(笑)。結局、部屋の中に置いてあったんですけど。
スキーを続けている子がうらやましくなったりしない?
時々はうらやましくなります。自分の好きなことを自由にやっているのを見ると、私もやりたいなと思う時もあります。特に冬になるとその子は山に3カ月間行っちゃうので、そのときはすっごくうらやましいです。
私は給料はもらえるけれど、決まった時間の中で働いていて休みもそんなに取れない。その子は自分の時間を優先して休みほうだいだけれど、働かないと収入は少なくなる。それぞれメリット、デメリットが違うので、どっちを取るかなんですよね。
基礎スキーはいつから始めたの?
私が本格的にスキーを始めたのはニチジョに入ってからです。高校の時はバトミントンをやっていました。ただ地元が長野で、父親がインストラクターだったこともあり、小さい頃からスキーはずっとやっていました。まわりにはスキー場がいっぱいあって、小学校の時は、土曜日午前中に学校が終わるとすぐスキー場に行ってそのままナイターみたいな感じでした。
自分は夢を追おうとは思わなかった?
私は、一生スポーツで食べていけるほど優秀な選手でもなかったので、そこまで極めたいとも思わなかった。
大学時代に居候しながらスキーの大会に出たりしている時、スキー指導員の人に「冬以外は何をしているんですか?」って聞いてみました。やはりバイトをしているということで、指導員になったら当然指導の仕事もしなきゃいけないし、冬中ぜんぶ自分のスキーに専念できるわけじゃないということでした。
スポーツはからだを壊しちゃったら終わりだし、それで働くのを止められるわけじゃない。どっちがいいのかなって思うと、スキーで食べてくことは選択肢からは自然に消えちゃいました。そこが4人兄弟の長女として賭に出られないところで、根っからの体育会系ではなかったのかもしれないです(笑)。
今の仕事はどうやって選んだの?
シュウカツのときは、「せっかく体育大学に来たのに、なんで一般企業?」っていう思いも最初はありました。
取りあえずアバウトに自分に何が合うか考えてみました。父親が信用金庫に勤めていたことがありその時にお客さんと話していた光景が自分の頭に残っていて、仕事ってこういうのかなっていうイメージがありました。それで私もやっぱり営業職かなと。
あと、ちゃんとお休みが取れる方がいいので、土日お休みの会社を探しました。飲食系だと、土日勤務だったり、平日も連続で休めなかったりするので、選択肢からはずれました。その時点では休日は見ましたが、他の条件とかはあんまり見ていませんでした。
今の会社は、同業他社と並行して試験を受けていました。説明会に行ったり面接を受けているなかで、じわじわと「なんかいいかも。」と思い始めました。最終面接までいった時、これでいい返事がもらえたら「会社のほうも私があっていると思ってもらえているんだ。」と思い、初めて同業他社と条件を見比べてみました。
決め手は?
今の会社は勤務地が「全国転勤あり」、「地方のエリア内」、「都道府県内」の3種類を選べて、お給料がはやはり「全国転勤あり」が一番良かったので、私は「全国転勤あり」を選びました。同業他社のほうは、地元の県内採用で受けていました。でも地元は広いので、勤務地によっては一人暮らしをしなくてはいけませんでした。
2社とも残った時に、給与条件がいいほうか、地元で一人暮らしかの選択になって、最終的に条件のいいほうを選びました。勤務地はどこになるかわからないけれど、そこは賭にでようと(笑)。
勤務地はどこでも良かった?
本音は、地元になればラッキーですが、そうじゃなければどこでも良かった。全国転勤OKを選んだら、希望はいっさい出せません。ただ「女だからそんなぶっ飛んだところには行かないだろう。」と、ちょっとたかをくくっていたところもありました。地方の全然関係ないところに飛ばされるのは男性に多く、そういう人には研修の時に事前にそれとなく聞かれたりするみたいなんです。
「沖縄は好き?」とか?
そう、そういう感じで。私には何もなかったんで、最終的には都内か、地元の県のどこかだろうって思っていました。実際は近からず遠からずの微妙なところになりました。人事の人から辞令を受けた時、思わず「そこってどこですか?埼玉県はわかるんですけど。」って聞いちゃいました。
でも今の経済状況を見ていると、もし地元に行けたとしても、首都圏とは比べものにならないくらい厳しいんだろうなって想像すると、今の勤務地で良かったのかなと思います。
ずっと続けていけそうですか?
働いていて、正直自分にほんとにあっているのかどうかわかりません。転職とかも考えない訳じゃなくそこは悩みますけれど、やっぱり3年とか5年やらないと、今の仕事があっているかどうかさえもわからないんだと思います。だから最低3年は続けるつもりです。28歳を越えて社内の試験に受かれば、課長代理とか課長になれる資格が持てたりもします。
今は社内改革で体制とかも変わってきて、営業活動のやりかたも見直されています。今までは決まったことをやっていれば良かったのが、それ以上のことを求められたり、できなければ部署をはずされたり、1年後の今、自分が営業でいるのかどうかもわかりません。
でもそういう状況は私の会社だけじゃないし、みんな「どうしよう。どうしよう。」ってざわざわしている感じです。転職雑誌とかを見ても、他の会社をあまり魅力的には感じません。聞いた話ですが、新人研修がなくなっちゃったところもあるらしいので、そんな状況の時に会社を変わっても仕事をちゃんとやれないような気がします。
これからシュウカツする3年生にアドバイスを。
これからの半年間、1年間は頑張って、ほんとに好きになれる会社、ここだったら3年間は絶対続けられるという会社を、見つけて欲しいと思います。それを見つけるためのシュウカツだから、面倒がらずにやった方がいい。
どんな会社に行ったとしても、自分が納得して決めた会社だったら、3年間頑張れると思います。私も、今の会社は誰に言われたわけでもなく自分で決めました。誰かに何か言われたとしても、最終的には自分の目で見たことを信じて、自分の責任で決めればいいんじゃないかと思います。