資格・就職
スポーツ×語学力でキャリアの幅を広げよう
田中 隆祐さん
■一般社団法人グローバルアスリートプロジェクト
一般社団法人グローバルアスリートプロジェクト代表理事の田中隆祐さんです。田中さんはアスリートや子ども達を、語学面から応援するプロジェクトを行っています。活動内容やそれを始めるに至ったいきさつについてお話していただきます。
<2016.06収録>
スポーツビジネスとグローバルアスリートプロジェクト
こんにちは、田中と申します。僕は今グローバルアスリートプロジェクトという活動をやっています。僕自身、スポーツをずっとやってきて、小・中学校は野球、高校・大学ではアメリカンフットボールをやっていました。社会人になってからも仕事をやりながら、Xリーグというアメフトの社会人リーグに所属して、29歳まで競技を続けていました。
2004年に、スポーツビジネスの会社を立ち上げました。渋谷のマンションの1室で、始めた当時の仕事は実は1つしかなくて、それは徳島県でJリーグのサッカーチームを立ち上げるというものでした。当時、四国にプロチームはひとつもなくて、地元の製薬会社が自分たちのサッカーチームをJリーグに昇格させようということで、そのお手伝いをすることになったのです。
それから3年間、年50回くらい徳島県に通って、ゼロからJリーグクラブを立ち上げていきました。その経験からプロサッカーチームだけでなく、プロ野球チームやラグビートップリーグなどのビジネス面をサポートしたり、コンサルティングをしたりする仕事をするようになりました。
同時期に、フットサルの日本代表の木暮賢一郎と出会って、当時日体大の大学院生だったのですが、彼のマネジメントをするようになりました。それからも、多くのプロアスリートをマネジメントする機会を得ました。また、スポーツメーカーなどの、マーケティングやプロモーション活動も行いました。
当時は、いろんな大学にスポーツビジネス学部とかスポーツマーケティング学部ができ始めた頃で、実際に日本でスポーツマーケティングやスポーツビジネスをやっている人は少なかったので、僕らも大学に呼ばれて講義をしたりしました。
大学で学生と話すうちに、「スポーツ業界で働きたいんですけどどうしたらいいんですか?」みたいな質問をよくされるようになって...。正直、スポーツビジネス系の学部や学科を出たからと言ってスポーツ業界に入れるということはまずないんですね。かと言ってスポーツをやっていたから入れるわけでもない...。そこはもう経験値でしかないんです。
「学生の時にそういう経験を積めば即戦力になれるんじゃないか?」ということから、僕らの会社のクライアントのスポーツチームやスポーツメーカーなどの仕事を学生達にインターンとして手伝ってもらうことにしました。これは今も、スポーツ業界で働きたい学生が1万人ほど登録するインターンのコミュニティに成長しています。
さらに、海外でスポーツビジネスが勉強できるような研修を作ろうと、2005年にシアトルになんのコネもなく行って、シアトルにある色々なスポーツチームやスポーツ関係の会社などと交渉して、アメリカに日本の学生を連れて行きました。そこで学生に刺激を与えてから、日本に戻ってきて、見てきたものや聞いたものを実践できるようなインターンをさせるようなプログラムです。
そんなことをやっていたら、卒業間近のインターン生から今度は「どこに就職できますか?」という相談を受けるようになり、リクナビやマイナビのスポーツバージョンと言うか、スポーツ業界だけが参加する就職セミナーをやったりもしました。
会社を立ち上げて6年後の2010年、僕自身にも転機が訪れました。僕がマネジメントしているサッカー日本代表GKの川島永嗣が南アフリカワールドカップで活躍したことで、ワールドカップ後にベルギーのチームに移籍したんです。
僕は彼が今ほど有名になるかなり前からずっとマネジメントしていたので、彼の移籍にともなって、僕自身も年に5、6回、多い時は10回ほど海外出張に行くようになりました。そこで問題になったのが、僕が英語が話せないということでした。海外でいろいろな仕事する上で、英語は必須でした。
僕は学生時代からずっと野球とアメフトしかやってこなかったので、ぶっちゃけ大学では真面目に授業を受けた記憶もなく、高校も練習が厳しかったので授業はひたすら体力回復の時間みたいな感じで、いっさい勉強してこなかったんです。それで35歳から遅まきながら英語の勉強を始めたのですが、ほんとに亀のようなスピードでしか上達しないんです。
川島永嗣は昔から海外に移籍することが夢で、19歳くらいから英語とイタリア語とスペイン語とポルトガル語を勉強してきたほど、語学を勉強する努力の天才です。彼に「どうやったら話せるようになるの?」と聞いたら、「とにかく毎日30分、英語の勉強をやってください。単語でもヒアリングでもスピーキングでもなんでも、とにかく30分英語を口に出して、それを毎日、1年間みてください」って言われました。
それで日本で世に出ているありとあらゆる英語学習方法をトライしてみました。英語学校で個人教授を受けたり、英語の勉強だけでいくらかかったかわかりません。その中でいちばん効果があったのは、中学校1年から3年までのドリルを全部やり直したことでした。
今の英語レベルは、なんとか下手な英語で無理やり談笑することはできますが、ビジネスカンバセーションはできません。中学・高校・大学と10年間も英語を勉強する機会があったのに、「なんで今頃になってこんなに苦労するんだろう」という後悔がものすごいあります。
学生の頃は、英語がどうやって仕事の役にたつのかわかりまえんでした。話せないことでどういう苦労があるのかもわからなかった。それは、海外を目指すアスリートも状況は一緒で、今、海外で活躍しようとする日本人アスリートは、実は言葉が一番ネックになっているんですよ。
今、海外に挑戦する日本人選手を200名以上サポートしていますが、みんな外国語が話せないことで本来持っている実力を発揮できないんです。最近ニュースで、五郎丸選手が英語力不足でスタメン落ちみたいのがあったけれど、あんなことは昔から海外に挑戦した全部の選手が経験したんですよ。
当時、日本人選手が在籍していた某メジャーリーグ球団関係者と話をしたときに、その日本人選手があまり試合に出れてない理由を聞いたときに、「だって彼は英語が話せないから。」って言われたこともありました。
そういう自分自身の経験や、アスリートの苦労話をもとに、2011年に立ち上げたのが「グローバルアスリートプロジェクト」です。世界に挑戦する日本人アスリートの語学面をサポートするプロジェクト。かなりピンポイントですが、これはよく考えたらすごい重要なことです。
だってもし自分の会社に、全く日本語がしゃべれない、しゃべろうともしない外国人が就活にきたら、採用できないじゃないですか。上司の言うことも聞けないし、同僚とコミュニケションもとれない。それでは本人もパフォーマンスを発揮できないし、僕らも仕事を与えられません。
これからは英語が話せないとまちがいなく苦労する時代が来ると思います。外国人が今たくさん日本企業に入ってきていて、大事なポジションは全部彼らに取られてしまうとか。っていうか、もうそうなっているんじゃないかな。
もうひとつの活動は、「幼児・小学生が対象の英語サッカースクール」です。これは、コーチ達が英語でサッカーを教えながら、知らず知らずのうちに英語を話せるようにしようというものです。プロサッカー選手を輩出するような技術志向のサッカースクールじゃなくて、あくまでも英語を勉強するためのサッカー教室です。2014年に開講して、今は8校まで増えました。
グローバルアスリートの活動が本格化してきたので、2014年に自分の会社を作って独立しました。これからも、アスリートを語学面から支える活動をどんどんやっていきたいと思っています。
僕がスポーツビジネスにたどり着くまで
ここから、大学生の時からスポーツビジネスの会社を始める2004年までに、僕がどういう道をたどって来たかお話します。大学時代はひたすらアメフトをやっていました。授業には全く出ず、学食かグランドにしかいませんでした。当時は仕事で別にやりたいこともないし行きたい会社もなくて、就活もろくにしませんでした。
9月からアメフトのリーグが始めるので、「就活はとにかく早く終わらせたい」「早く内定が出るらしい」という理由だけで、銀行業界を目指しました。都銀と地銀の違いもわからないレベルでしたが。。。
面接に行って「どうしてうちの銀行に受けに来たんですか?」って訊かれても、都銀と地銀の区別もつかないヤツが説明できるわけがありません。「学生時代どんな勉強してきましたか?」って聞かれても、「アメフトです」って答えるしかない。そんな感じだったんだけど、なぜか都市銀行に内定をもらえたんです。
それで銀行に就職して、地獄のようなサラリーマン生活が始まりました。法人融資部に配属されたんですが、そこはまさにリアル半沢直樹の世界で、ほんとにアレはよくできたドラマだと思います。僕もドラマに近い経験をしました。23歳のぺーぺーの新入社員が、5、60歳の企業の役員全員に土下座されたりしたこともありました。
そもそも銀行ってなにする仕事なのかわからずに入っているから、仕事は楽しくないし好きにもなれない、でもやらなきゃいけないことは鬼のようにある。マシーンのようにひたすら仕事をしていました。その時に初めて、「自分はいったい何をしたいのか」を真剣に考え始めたんですよ。
25歳になって、「自分は将来どんなことがしたいのか?」ひたすら自問自答していました。「仕事は一生やるんだから、どうせならやりたいこと、楽しいことをやりたい」でも、そもそも何がしたいのか、何をすれば楽しいのかもわからない。
そんな時に本屋さんで、ベンチャー企業の社長が書いた「ジャパニーズドリーム」っていう本を見つけ、本の帯に「26歳・史上最年少で上場会社社長」と書いてあって、「1つ歳上で会社を上場させているってどういうヤツだろう?」と思って読んでみたんですよ。
一晩で読み終わりました。たった一歳上のヤツが会社を上場させて本を出している。かたや自分はサラリーマンで毎日やりたくもない仕事をしている。「自分はこの後どうなっちゃうんだろう?」って思いました。
寮の同期にその本を貸したら、彼も一晩で読んで、次の日の朝、食堂に降りてきて「俺、会社辞める。」って言って、数ヶ月後にほんとに辞めちゃったんです。「どうするの?」って聞いたら、「決まってないけど、独立するためにどこか会社に入って修行する。」って。それでコンサルティング会社に行って、彼は今は独立して自分で会社をやっています。
彼が、「オレはやめたけど、オマエはどうすんだ?いつまで銀行員やっているんだ?」と言われました。それが1990年の後半くらいで、世の中はベンチャーブームでした。「とりあえずベンチャーにでも行くか」と、ベンチャーが何の仕事するのかもよくわからず、たまたま出会ったベンチャーの広告会社に転職しました。銀行員、3年やりましたが、僕は一瞬たりとも楽しいと思ったことはありませんでした。
で、ベンチャーの広告会社ですが、当時、社長は30代中盤くらいで、社員の平均年齢は25~6歳、僕は25歳で入ったけど上司は26歳。月給は20万円くらいでその代わりボーナスがフルインセンティブで、結果を出せばボーナスがたくさんもらえるみたいなシステムでした。
今までは大企業で、ぶっちゃけさぼっていても給料はもらえる、ボーナスは出る、有給休暇はある、せいぜい上司におこられればすむくらいだったけど、そこは真逆で、新卒は3年くらいは面倒をみてくれるけど、中途採用は半年売り上げが続かなかったら、ほんとに「はい、クビ」ってクビにされるんです。
そこでお金を稼ぐとはどういうことなのか徹底的に学びました。銀行では、自分で仕事なんて取ってこなくても勝手に仕事の方からやってきて、それを教えられたマニュアルどうりにこなしていれば良かったのですが、ベンチャーは自分から仕事を取りにいかないと何も生まれないんです。まずクライアントに行ってゼロから仕事を取って来る。仕事ができるイコールお金が稼げるです。
仕事がなんとかできるようになってお金も稼げるようになってくると、仕事も楽しくなってきて、やりがいもあがってきました。そこには25歳から28歳までいました。
2002年に日韓ワールドカップがあって、その広告会社でワールドカップのオフィシャルスポンサーの仕事など、ワールドカップに携わる仕事を担当しました。それでスポーツビジネスに興味を持ちました。それで29歳で独立して、たまたま縁があってスポーツビジネスの会社の創業とJリーグクラブをゼロから立ち上げる機会に巡りあって、今につながるのが僕のストーリーです。
学生時代にやっておいて欲しいこと
最後に、学生時代に絶対にやっておいて欲しいことが3つあるのでお伝えします。ひとつは語学の勉強。これはもう絶対です。あと海外経験。半年でも1年でも1カ月でもいいから海外に住んで欲しい。しかも日本人がいないところ。あとはビジネス経験。僕の意見ではアルバイトはビジネス経験とは言えません。本気のインターン、それも長期でやった方がいい。一年生のうちからやっていたら、絶対人生が変わりますよ。
海外ではギャップイヤーというのがあって1年くらい休学したり留年したり、卒業してもすぐに就職しないで1年くらい自分探しの期間があったりするんだけど、僕個人としてはそれは賛成で日本も1年間くらい何もない期間が必要だなと思っていて。僕も1年くらい人生のどこかでギャップイヤーを作っていたら、もっと違う人生があったかも知れません。
よく学生に「スポーツビジネスをやるには、学生時代にどういう勉強をしとけばいいんですか?」って質問されるんだけど、こんなこと学校の先生の前で言うと怒られちゃうかもしれないけど、僕は勉強で得られる知識はほとんどないないと思っています。
知識って、勉強と経験が合わさった時に初めて知識になるんです。どんなに本を読んでも実践しなかったら意味がないし、やっていれば必要な勉強が見えてきます。僕は今、めちゃくちゃ勉強しています。でもそれは必要にせまられているからで、それにお金を出しても惜しくありません。
まずはアクションしてみることです。そうしたら何が必要になってくるかわかってきます。考えている暇があったらまずアクションしましよう。できるようになったらやるのなら、それは一生できるようにはなりません。やっていればいつか必ずできるようになります。
その代わり人の倍やってください。一所懸命やっていれば、出会いがあって必ず引き上げてくれる人も出てきます。もしそういう人に出会えなかったら、それはまだ頑張りが足りないからです。人生で起こることにはすべて意味があります。
何かご質問があればどうぞ。
【学生】これだと思う出会いは、どうやったら掴まえられますか?
25、6歳くらいの時に意識的にやっていたことは、会いたい人とか、やりたいこととか、行きたいところとか、欲しいものとか、とにかく自分の欲望をひたすら人にしゃべりまくるんです。「こういう人に会いたい」とか、「あの会社の人に会いたい」とか本気で話していると、誰か一人くらい、それをかなえてくれる人が出てくるんですよ。もちろんそれは、自分より経験値がある人に話すんですよ。僕はそれを15年くらいやっていて、今は会いたい人に2、3人介せば会える自信があります。大統領とかじゃなくて世の中で普通に仕事している人だったらね。
【学生】旅行が好きで旅行業界に行きたいんですけど、「好きなことを仕事にするのは違う」って言われました。
それは半分正解で、半分違うと思います。スポーツの競技しか知らない人とかやったことがない人が、ビジネスがバリバリできるかと言うとそれはちょっと違います。僕らはスポーツでビジネスをしなければいけないので、好きなこととお金を稼ぐことは当然違います。
もちろん好きなことで生きていけたらいいですよね。でも、例えばJリーグのクラブで「僕はサッカーに携われるのが幸せなので給料安くても幸せです。」っていう人がいたら、それはそれでありだけど、ビジネスである以上稼いで、自分の給料もそれで上がっていってってならないといけないと思う。そういう人がスポーツビジネス界にもっと入ってこないとスポーツビジネス界自体が活性化していかないと思う。
だから、好きなことをやってお金を稼ぐのが僕はポイントだと思う。好きなことをやってたくさん稼げれば最高だと思うんです。僕は銀行で死ぬほど勉強させられましたが、なにも頭に入ってきませんでした。嫌いだから。だけど今の仕事のためだったら、好きだから勉強したことが全部入ってくるんです。「好きこそものの上手なれ」じゃないけど、そもそも好きじゃないと上手にならないと思うんだよね。好きを仕事にするのは、僕は大いに賛成です。
【学生】スポーツプロモータにどうやったらなれますか?
言葉が一人歩きしていると思うんだけど、スポーツプロモータって何?スポーツマネジメントって何?スポーツプロモータとかスポーツマネジメントって何する仕事だと思う?マネジメントって「経営する」っていう意味だよね。アスリートをマネジメントするのはどういうことかって言うと、例えば僕は川島永嗣のマネージメントをやっているけど、株式会社川島永嗣っていう会社を経営していると思ってる。川島はサッカー選手しての能力をあげる。選手として人間としての質を上げる。それを営業したり、宣伝したり、他の会社との差別化を考えたりしてブランディングしたりしてお金を稼ぐのが僕です。それにはプロモーションの知識も必要だし、財務の知識も必要だし、法律の知識も必要です。新卒ではいきなりマネジメントっていってもそれは無理で、できるとしても雑用係です。でもそこで勉強していったらいつかはなれますよ。
プロモーションをしたいんだったら、それは広告代理店とかPR会社とかになるかもしれない。チームとなるとまた違って、仮にJリーグのクラブをチケットを売ったり、広告を売ったり、ファンクラブの会員を集めたり、地域とのコミュニケーション活動をしたり、いっぱいあります。まずは自分は何がしたいのか、インターンとかで体験することだね。
やってみたら自分が考えていたものと全然違っていたりするから、そこで初めてわかったりします。それを早いうちからやっていたらいっぱい経験できますよ。やってみないとわからないことがたくさんあります。どういうことをやるか知らないで「アスリートのマネジメントやりたいんです」って就活でこられても困っちゃう。それは、僕の銀行状態ですよ(笑)。
【学生】これからの目標ってありますか?
今スクールの生徒が200人くらいだけど、それを1000人2000人にしたいですね。とにかく英語に困らない子を作りたい。サッカーやスポーツを通して英語を学ぶことを子供の頃から10年やっていれば、まちがいなく英語に困らなくなる。それがダンスと英語でもいいし、究極はインターナショナルスポーツ幼稚園みたいのを作りたいですね。
【学生】スポーツで成功する人の条件ってありますか?
スポーツ選手で僕がみるのは、技術よりも人間性です。一流の選手は人間性も一流です。まず人間としてちゃんとしているかどうか。あと、地味な反復練習をやり続けられる才能があるかどうか。学生で、僕がみるのはやる気と積極性です。
【学生】バレエをやっているんですけど、どうやったら英語がしゃべれるようになりますか。
外人のバレエの先生を探してみたら。それか1か月でも外国でダンススクールに通えばいんじゃない。ダンスの先生を外人にしちゃう。自分を追い込むことだね。ダンスのための英語だったらできるんじゃないかな。英語はツールでしかないから、学ぶための目的を作ることです。
【学生】銀行の仕事が好きになれなかったのはどうしてですか?今はなんの為にお金を稼いでいますか?
自分がやっていることがなんのためなのか、どう社会のためになっているのかわからなかった。仕事で自分がいくら稼げているのかもわからなかった。銀行は利息や手数料で稼いでいるので、法人融資はお金を貸すのが仕事なんです。だから僕は上司に「貸してこい」と言われる。「今月のノルマはいくらだ!」と。無尽蔵に貸していいんだったら貸しまくりますよ。でも、審査があるので誰にでも貸せません。借りたい人はいっぱいいるけど、ほんとに必要な人は審査に落ちたりして貸せないんです。「銀行は晴れの日に傘を押し売りして、雨の日に売った傘をうばうことが仕事だ」と言われていました。
サラリーマンの時はやらされている感がすごくあって、ボーナスたくさん欲しいとかそういう欲求しかなかったけど、今は自分の会社の社員がいるので、半分は彼らの生活の為に、半分は会社でやりたいことを実現するためにお金を稼いでいます。